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池田哲平のコラム
牛の解剖30:舌4 ~舌の上の突起物~

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2010年2月27日

ヒトもウシもそうですが、動物の舌の表側(上側)というのはとてもザラザラしていますよね?動物になめられると少し痛いくらいです…。あれは、舌の表面にいくつも飛び出している突起物があるせいなのです。この突起物は“舌乳頭”と呼ばれています。舌乳頭にはいくつか種類があり、動物種によってその分布の仕方や形が微妙に違います。この舌乳頭の主な役割は、舌表面に凹凸を付けることによって摩擦抵抗を増やすことです。摩擦抵抗があるおかげで、動物は食物を効率よく口の中に運び、口の中で撹拌しやすくしているのです。特に、舌乳頭の中の糸状乳頭(左の顕微鏡写真参照)というのは一番数も多くもっとも舌のザラザラに影響しているのですが、一番の特徴はその生え方にあります。糸状乳頭は必ずその先端が口の奥に向くように生えていて、食べ物が口の中へ中へと運ばれるのにとても効率がいいのです。
 また別の種類の舌乳頭には味覚にかかわる“未蕾(みらい)”というものがくっついています。この未蕾が刺激を受けることで、動物はその食べ物の味を認識します。ウシは他の動物に比べて未蕾の数が少ないそうですが、だからと言ってウシがグルメじゃないとは言えません。飼料を変更したら食べなくなるウシがたまにいますが、ああいう子たちはとてもグルメで困ってしまいますね。。

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