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伏見康生のコラム
NO.171: 膀胱炎??

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2012年2月15日

 先日、膀胱炎と診断した雌牛を病畜出荷しました。 その子は生後24ヶ月。ちょうど1年ほど前に、挙尾、頻回排尿をするということで診察し、直検するとガッチガチに固くなった膀胱らしきものを触知。陰毛に白色の結晶を認めたので、膀胱炎と尿石症と診断しました。排尿のたびに痛みや違和感があるのか、おしっこは出ないのにしばらく挙尾し続けるというのが主な特徴でしたが、幸いBUNやCREに影響が出ることはなく、比較的順調に肥育されていきました。しかし最近になって食欲が目に見えて低下してきたことと、いきみから座っていると窒脱をするようになってきたため、出荷をすることになりました。

屠場と検査場の先生にお願いして中を見せてもらうと・・・うわっ!!

膀胱粘膜は予想外にきれいでしたが、その先端にはなんだか肉の花??のようなものが形成され、さらにその先に・・・がちがちの膿瘍ができていてたっぷりと膿が出てきました・

胎児期、膀胱の先端には膀胱からの排せつ物をおへそを通して胎盤側へ運ぶ尿膜管という管が存在しますが、生後すぐにその管は収縮して膀胱は丸い袋になります。しかしうまく収縮できずにこの管が残ってしまうと、尿膜管嚢胞や膀胱憩室となって時に化膿してしまいます・・・この子がまさにその一つのパターンであったと思われます。

そして、似たような症状の牛が別の農場にももう一頭・・・おんなじかな??

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