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笹崎直哉のコラム
体内で作られる有害な酸素 その2

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2018年5月22日

 皆様お疲れ様です。先日「先生、逆子のお産じゃっど~。後ろ足が出とらい!」とのことで難産介助に向かったのですが、やはり過大子。整復も無事完了して産道にも赤ちゃんが産道に乗ってくれたことを確認し、いざ滑車を用いて牽引しようと試みました。しかし笹崎はハッとしました。「このままだと娩出時に赤ちゃんの胸部を圧迫して肋骨骨折を招いてしまう、母体の産道にも傷が深く入ってしまう、、、」。結果帝王切開を実施しました。逆子のお産は判断が非常に難しいです。これからも特に注意を喚起して臨んでいきたいものです。

 さて、前回は抗酸化作用の持つビタミンまで紹介しました。さっそくビタミンEとセレンの話をしていきます。前回触れましたが、ビタミンEは活性酸素(フリーラジカル)を消去することにより、脂質の過酸化を防いでくれます。それからセレンは酵素の必須成分として悪者である過酸化水素、過酸化水素を分解するために必要な酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ)を合成する作用を持ちます。

 では、牛さんの臨床現場ではビタミンEとセレンはどのように利用されているでしょうか。まずは子牛の白筋症予防として使われていますね。生後の3日目の鉄剤、ビタミン注射として予防的にビタミンEとセレンを投与している農家さんは多いと思われます。実際に自然哺育子牛の血液中のビタミンE濃度は人工哺育子牛のそれよりも低く出てしまうという報告ありますので、自然哺育のスタイルでやられている方には特に重要な注射となってきます。

 それから母牛の胎盤停滞の予防として投与する場合もあります。これは分娩後に胎子胎盤と母胎盤との接着部が出血や壊死に陥ると白血球があつまり、活性酸素を放出し炎症を起こしやすいため、結果的に胎盤停滞を招く恐れがあるためです。胎盤停滞を中心とした周産期の予防にもビタミンEもしくはセレンの補充は非常に良いかもしれません。

つづく
 
 
 
 
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