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笹崎直哉のコラム
体内で作られる有害な酸素 その1

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2018年5月15日

 皆様お疲れ様です。鹿児島に住んでいれば避けて通れないのが降灰。微量ではありますが、朝起きて診療車のフロントガラスに付着した火山灰ちゃんにおはようと挨拶して出勤するのが増えてきました。先日フェリーで桜島観光しましたが、噴火中であり灰がこちらに向かってくる光景を目の当たりにし、鹿児島市お住いの方は大変だろうなと感じました。

磁力のある電子機器の内部へ容易に侵入してしまい故障の原因になりかねないとの話もお聞きしたこともあります。たまに見るのはいいけれど、降ってくる火山灰は厄介者なのです。

 今回は活性酸素についてお話しようと思います。ヒトも動物も病気の際に酸素吸入で一命を取り留める場面は想像しやすいですが、酸素の中でも毒性を持つものがあり、それは一般的に活性酸素と呼ばれています。この酸素は空気中の酸素と比較して極めて強い酸化力があり4種類(スーパーオキサイド、過酸化水素、一重項酸素、ヒドロキシラジカル)存在します。そして恐ろしいことに動物体内でも作られています。
 では、どのようなときに発生するのでしょうか?発生原因はたくさんありますが、主要なものとしては、、、
①生きるために必要なエネルギー(ATP)を作るとき
②肝臓で解毒作用が行われているとき(アルコール好きの方は要注意です!)
③白血球(特に好中球)がバイ菌などの病原体を食べたり(貪食)、殺菌するとき
が挙げらます。この活性酸素が細胞レベルで体内の組織や器官にダメージを与えるので、老化、衰退の原因になってしまいます。あ、飲酒のときにはアフターケアが重要ですよ。勿論飲み過ぎもいけませんが。

 ここで牛さんの生活に置き換えて考えてみます。活性酸素の発生しやすい場面はどういうときでしょう?。まず挙げられるのは疲れが伴いやすいとき(代謝が亢進しているとき)ですね。子牛でいえば主に寒冷、離乳、去勢、群編成、導入時の移動(輸送)のストレス。成牛では繁殖時期、分娩時期は目立ちますよね。暑熱ストレス、空腹ストレス(乾物摂取量不足)もあります(なんだがお母さん牛って大変、、、)。
 そしてもう一つは慢性疾患です。肺炎、腸炎、繁殖障害、肝炎、乳房炎などが思い浮かびますが、やはり「肺炎」は牛さんで我々獣医師はもちろんのこと生産者さんで頭を悩ませているのではないでしょうか。
 このように動物が生体内で過剰に発生したり、細菌などを除去し終えた活性酸素は取り除かなければなりません。これを助けてくれるのが抗酸化作用の持つビタミンです。正確にはビタミンA、B、C、Eとβカロテン、セレンが挙げられます。次回から細かく分析していきましょう。

つづく
 
 
 
 
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