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蓮沼浩のコラム
第489話:中耳炎雑感 その2

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2017年10月5日

 最近は仕事がなんだかんだと大変で、家に帰ったら腑抜けになっています。しかし、いくら外で頑張っていても、家庭では腑抜け親父はただの粗大ごみと一緒です。粗大ごみ万歳!!
 
 ふつうは生後40日以降から出始める中耳炎が、生後10日過ぎごろから出ることがあります。マイコの高濃度感染を疑って検査をするけれども、小生の今までの経験からは鼻腔スワブからマイコが検出されたことは一例もありません。しかし、耳は下がっているし、耳から膿がたくさん出てきています。まだよくわかっていないことも多いことから原因ははっきりとはしていないのですが、一つの注目するべきポイントはあります。それは何かと言うと・・・

耳標を取り付けたところが化膿している、という事です。

生後40日以内に中耳炎を発症している子牛の耳を確認すると、耳標を取り付けたところが炎症をおこして化膿している事例に遭遇することがあります。耳の中は汚れが目立ち、皮膚がやや赤黒くなっていることがポイントです。そして、出てくる膿の量が結構多い。このような症例では必ず耳標の装着部位を確認してみてください。結構ひどく炎症が起きている場合があります。耳標に隠れてしまっていることから、よく見ないと気が付かないことがあります。あくまでも推測ですが、耳翼の炎症が何かしらの影響を外耳および中耳に与えているのではないかと考えています。このような症例は中耳炎というよりも外耳炎かもしれません。10ケタ耳標を付けるようになって中耳炎が増えたということを読んだり聞いたりすることがあります。確かにこのような事例があることから一つの原因としては考えられそうですね。あと、気になる点としてはこのように耳標を取り付けたところが化膿する子牛は、生まれたときから虚弱な子牛が多いように思います。耳標を付けただけで化膿してしまうような子牛はやはり免疫力が落ちているのかもしれませんね。このような子牛は耳標の装着時期を考え直してもいいかもしれませんね。
生後間もない子牛の中耳炎が疑われる症例の場合はしっかりと耳標の装着状態を確認することを忘れないようにしてくださいね。あと、治療する時は当然この耳標を外すことが肝心ですよ~~~~。

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