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蓮沼浩のコラム
第464話:レア・キャラ 産業動物の獣医さん

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2017年3月16日

 先日、診療所の近くの高速道路が延長されました。ほんのわずかな長さですが、利便性がよくなりました。往診する時に上手に使っていきたいと思っています。

 一般の方と話をしていると、牛の獣医さんは結構マイナーな存在だな~~~と思うことがあります。どうも獣医さんと言えば小動物臨床のイメージが強いようで、仕事は牛の獣医師をしていますと言うと、「ん???牛って病気すんの???」などというファンキーな答えが返ってきたりします。まあ一般の方からすれば、牛の獣医さんはいっつも山の中や田舎をうろうろしていてほとんど目にする機会がないし、想像しにくいのかもしれませんね。もちろん小生も街や都会とは縁遠い田舎に生息しています。そこで興味が出てきたので、牛の獣医さんがどのくらいマイナーな存在なのか人数など調べてみました(笑)。

 まず、平成26年度のデータでは、獣医師さんの数は39098人です。お医者さんは311,205人、歯医者さんは103,972人、薬剤師さんは288,151人、看護師さんは1,603,108人になります。う~ん、これが多いのか少ないのか小生にはわかりませんが、お医者さんの人数を100%とすれば、獣医さんは12.6%、歯医者さんは33.4%、薬剤師さんは92.6%、看護師さんは515.1%になります。医療にかかわる仕事の中では少数派になることは間違いなさそうですね。

 では、獣医さんの中ではどのようになっているのでしょうか。同じく平成26年のデータでは産業動物診療に従事する獣医さんの数は4,317人。小動物診療に従事する獣医さんの数は15,205人。小動物の獣医さんの28.4%になります。小動物診療の獣医さんはどちらかと言えば街や都会にも結構いらっしゃいますが、産業動物の獣医さんは田舎や山の中に生息していて、なおかつ小動物の獣医さんの28.4%しかいないので一般の方が目にする機会は少なそうです。

 産業動物の獣医さんは日本の人口と比べてどのくらいの割合でいるのか?平成26年の日本の人口は12,7083,000人でした。そこで、日本の人口に占める産業動物の獣医さんの割合を出してみると・・・・・・0.0034%という数字がでてきました。人口29,438人に1人という結果になります。ちなみに産業動物の獣医さんとは牛だけでなく、豚や鶏の獣医さんも含んでいます。地域差などを考えずに単純に計算しているだけなので実情はもう少し違うと思います。でも、こんなざっくりとした比較ですが、こんな数字をしみじみ眺めていると、なんだか牛の獣医さんは山の中にいる「隠れキャラ」みたいな気持ちになってきました。

 とにかく一般の方が「牛の獣医さん???何してんの???」と言われてもしょうがないレア・キャラということがわかったような気がします。一体全体小生は何の計算しているのやら(笑)。

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