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蓮沼浩のコラム
第444話:やっぱりルーメンの安定は重要です!

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2016年7月14日

 九州は連日雨です。梅雨だから当然といえば当然なのですが、やはりこう雨が続くとカラッとした天気の日が待ち遠しいですね。

 前回は子牛の下痢に対する初乳や初乳製剤の乳汁免疫についてお話ししました。今回は子牛の下痢にちなんでもう一つ別のお話しをしますね。
 母牛につけている子牛が白痢をする時に獣医さんが考えることはというと・・・

①ロタウイルスやクリプトなどの病原性微生物に感染したのかな?
②母乳の質が悪くなっているのかな?
③母乳を飲み過ぎたり、お腹を冷やしたりしたのかな?

などが主なものではないでしょうか。

 小生も大体こんな感じで最初は考えます。ただし、①や③の場合はある意味わかりやすいのですが、②の場合が非常に困ります。はたしてこの母乳の質とは一体いかなるものなのか?この点については意外とわかっているようでわかっていない感じもします。現在は母乳の質についてはアルコール不安定乳などの二等乳がもんだいではないかと言われています。原因としては母牛のいる環境要因、アシドーシスや肝機能障害などの疾病による要因、発情などのホルモンバランスの要因、飼料給与の影響など様々なことがいわれています。

 成績の良い農場の牛さんを見ていると、親についている子牛が下痢をすることがほとんどありません。そして、子牛の発育もよく、繁殖成績も素晴らしいです。農家さんは繁殖成績をよくするという意識も高いのですが、良質の母乳を子牛に飲ませるにはどうすればよいのかという事まで考えていらっしゃいます。牧場によりさまざまな状況があり、一概には言えませんが、母牛の栄養状態やビタミン、ミネラルなどの他に、いかにして胃袋の発酵を安定させていくかという事に非常に高い意識を持っていらっしゃるように感じます。胃袋の発酵などというと肥育牛のことばかり考えてしまいそうですが、母牛も当然大事なことですよね!

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