(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第92話「DEBESOに注意~判断基準その②~」

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2016年6月29日

なんだか歯茎がぐらぐらすると思い、歯医者さんに行きました。
大学卒業以来だったのでおよそ5年ぶりの受診です。診療エリアに新しい歯科医がオープンしたばかりだったので、新しい物好きの戸田は早速そこに行ってみました。
きれいなのはもちろんですが、待合室がシンプルなつくりでおしゃれ!診察室も完全な個室になっていて、患者のプライバシーにも配慮したつくり。

え??すごすぎます…。
診療受ける前にすでに圧倒されました(笑)

②コリコリかぶよぶよか
さて、でべそが中に戻らない場合、それは臍ヘルニアではないということになります。
次に考えられるのは臍帯炎か臍膿瘍のいずれか。ターゲットが絞れてきましたね。

判断基準はでべそを触ったときの感触です。
「コリコリと固い触感がある」、「少し熱っぽさを感じる」、さらに「触ったときに子牛が背中を曲げたり足で蹴ろうとしたり、逃げようとする」というような場合、そのでべそは臍炎(臍帯炎)で決まりです。

炎症を起こしていますから、へそが腫れて膨れます。また、炎症部位は熱を帯びますから触れば熱いです。そして何より触られると痛いです。嫌がります。
細菌感染が起こっているので抗生剤や消炎剤の投与、患部の消毒などが必要になってきます。

ちなみに、「コリコリして固い」だけの場合もあります。この場合はすでに炎症反応は終わっていて、「しこり」として炎症を起こした組織が一部残っているだけなので、活力や食欲に影響がなければとくに治療せず経過観察でも問題ありません。

では、戻すことができない臍が「ぶよぶよ」あるいは「たぷたぷ」している場合はどうなのでしょう。この場合、少し丸みを帯びて膨れてきます。なぜか。
膿がたまっているからです。

臍炎で細菌感染が重度だったり、症状が進行していくと、炎症箇所を中心に膿が少しずつたまっていきます。結果、臍膿瘍となり袋状のおへそを形作ってしまうのです。

臍膿瘍の確定診断には、触診だけでなく穿刺(針を刺して注射ポンプで吸ってみる)や超音波検査も有効です。ヘルニアで消化管が漏出している場合に針を刺すのは非常に危険なので、穿刺だけはヘルニアの可能性を除外した後に実施しましょう。

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