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戸田克樹のコラム
第89話「はくせんって何④~先生、治してください~」

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2016年6月8日

帰宅途中にアナグマに遭遇しました。「じー…」っとこちらを見て、微動だにせず。
「写真とったろ♪」と思い、カメラをごそごそしていると逃亡。おしりの写真のみでした。

動物園に行かなくてもアナグマに出会える、そんな自然いっぱいの阿久根に今年の夏休みはぜひお越しください。

さて、皮膚糸状菌が感染し、残念ながら発症してしまった場合はどう対処すればよいのでしょうか。今回は治療法に焦点を当てていきましょう。

角質が大好物の皮膚糸状菌(カビの仲間)は皮膚の奥深くにまで根を張って増えていきます。
こうなると、どんなにきれいに洗っても落ちません。角質を根こそぎはぎとるしかありません。血だらけですね(笑)。

ヒト用にはさまざまな「抗真菌薬」と呼ばれる薬剤がたくさんあります。
コマーシャルもたくさん流れてますし、ドラッグストラでも買えますね。

しかし、角質の厚い牛さんに人間用の薬はあまり効果が期待できません。
さらに、発症牛の患部は個数が多かったり範囲が広かったりで薬もすぐに切れてしまうこと間違いなし!トホホ。

では、いったいどんな治療がなされているのか。
農家さんでよく見る民間療法?的な治療法を今回はご紹介します。
「とにかく塗る!」がポイントです

まずは油と硫黄
これは以前数面獣医師が実験していましたね。

油だけ塗る方も多いです。油の種類は人それぞれ。食用油から廃油まで、さまざまです。
目の周りの患部には塗らないように注意が必要です。垂れて目に入ったら…危険です!
「油で菌が呼吸できんようにすっとじゃ」
とのこと。なるほどです。

また、硫黄には「角質を軟らかくする」作用があるようで。硫黄成分の多い温泉には効能に「水虫」と記されていることもあります。「角質が柔らかくなると感染菌が露出されて剥がれやすくなる」or「真菌が角質ごと剥がれ落ちやすくなる」ことが治療につながるのでしょうか。

次に、お酢。
水と1:1で希釈したお酢を患部に塗ります。 木酢or竹酢液をかけるのもいいみたいです。
どうやらお酢にも「角質を軟らかくする」作用があるようです。効果は上記の硫黄と同じようなものですね。

さらに、熱したろうそく!!
これはかなり刺激的です。ほんとですか(汗)
白癬菌さんはどうやら高熱に弱いらしく、60℃以上の熱に1秒以上触れると死滅するといわれています。やけどしますよね(汗)。

とまあ、いろいろな方法で治療にあたっております。
もし、治療の参考にされる場合は必ず獣医さんに相談してからにしてくださいね。

ちなみにシェパードでは…。

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