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蓮沼浩のコラム
第438話:魔法の弾丸 その7

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2016年4月28日

申し訳ございません。手違いで前回と同じ文章を掲載しておりました。
本日差し替えました(2016年4月29日)。

 
 
 居合の試合で惨敗して家に帰ってくると、なんと家に子犬がいました・・・。小生、猛烈に反対していたのですが、子供たちと元気に楽しそうに跳ね回っている姿をみて、思わず不覚にも「荒んだおじさんの心」が癒されてしまいました。か、か、かわいい~!!
 
 抗菌薬の歴史は今までお話ししてきたエールリッヒ先生の活躍からスタートします。そしてその後はそれこそすさまじい勢いで研究が進んでいきます。最初に開発されたのが、「プロントジル」。これはドイツのドマーク博士が開発した最初のサルファ剤です。このドマーク博士ももちろんエールリッヒ先生の考え方を踏襲しています。サルファ剤という新しい抗菌薬が開発されたのは1932年。今から約80年前です。さすがに砒素化合物であるサルバルサンは使われていませんが、サルファ剤は今でも重要な抗菌薬として活躍しています。牛さんの世界でもスルファモノメトキシン、スルファジメトキシンを主成分とするものが現役バリバリで活躍中です。

 そしてその後1928年に歴史的な発見があります。アレキサンダー・フレミング博士によるペニシリンの発見です。たまたま実験中のブドウ球菌が培養されているシャーレの中にアオカビが生え、その周りだけブドウ球菌の発育が阻止されていることから「アオカビの中には何かブドウ球菌の発育を阻害する物質があるはずだ」との考えから新しいタイプの抗菌薬を発見します。いわゆる抗生物質というやつです。これまたすごい偶然が織りなす奇跡なのですが、一番すごいところは培養に失敗したところから、抗生物質を発見する発想力です。あとから考えればそこまで驚くほどのない内容でも、その重要性に気が付くことはすごいことです。とてつもない発見だったのですが、だれもそのすごさに気が付かずにその研究成果が約10年間放置されるぐらいです。1940年にフローリー博士とチェイン博士がペニシリンの精製と大量生産に成功することでフレミング博士は一躍注目をあびます。そしてこのペニシリンはサルバルサンよりも効果と安全性が高いので、抗菌薬の中心に一気に躍り出ます。
 小生は今でもこのペニシリンを愛用しています。よく「ペニシリンなんて効かね~よ」などという話を耳にします。確かに効果の出せない場合もあります。副作用の可能性もあります。しかし、上手に使えばこれほど使い勝手のよい薬はありませんよ~。


写真はWikipediaより引用

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