(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.335:初乳の搾り方

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2016年1月28日

先日、雪の吹雪く夜中、逆子・過大により仮死状態で子牛が産まれました。
今、大人気の華春福です。
瞳孔が開き、無呼吸であったため、半分以上あちらの世界に行きかけていましたが・・・蘇生処置でなんとか戻ってきてくれました。

しかし、呼吸器・循環器への負担が大きかったため、5時間後でも立てず飲めず・・・
というわけで、初乳を搾って経鼻的に強制投与することにしました。

正直、初乳の搾り方は何度かコラムやブログで取り上げたかもしれませんが、改めて私のやり方をご説明します。

まず、搾りながらの一時的な初乳の入れ物ですが、これは獣医師や授精師なら直検手袋が良いです。
持っていない場合にはビニール袋でもできます。

写真のように手のひら部分は縛ってしまい、長い腕部分のみを使います。

写真のように握り、上部分を反転させて握った手にかぶせます。

あとはそのまま手で初乳を搾ります。

これで仮に牛が激しく動いたり、蹴ったりしてもせっかく溜めた初乳はこぼれません。
ある程度たまったら、哺乳瓶などの二時容器に移せばOKです。飲ませましょう。

そして、蹴ってくる母牛対策には前脚上げが良いです。

ロープで小爪の下か上を縛り、脚を持ち上げて結んでおきます。
3本脚になった牛は立つのにバランスと力が必要になり、蹴ることができません。蹴ったら自分が転びますから。
5-10分程度は何も問題なく3本で立っています。
その隙に、搾ってください。
また、このやり方で子牛に初乳を飲ませない母牛の矯正も行えます。

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