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戸田克樹のコラム
第68話「ボツリヌスの恐怖 その4」

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2016年1月12日

昨日は成人の日☆
新成人の皆様、おめでとうございます!(・∀・)!
戸田は成人してからすでに8年が経過。切ないです。心は成長を遂げず、肉体は勝手に30歳を迎える準備をしています。助けてください(笑)。

さて、久しぶりに寒気につつまれた弊社の診療エリアではツルの家族連れが頻繁に目撃されるようになりました。出水のツル、見ごろです☆
ときには診療車のすぐ目の前にいることもあり、危険です。彼ら、あまり警戒心がありませんので(笑)

前回のコラムで紹介しましたが、ボツリヌス菌の産生する毒素にはA~F型まであり、ウシにはC、D型が、それ以外の4種類がヒトに対して毒性を発揮します。

芽胞に包まれた細菌はたたけません。

しかし、幸いなことに毒素自体は非常に弱小!

80℃で30分、もしくは100℃で10分加熱すれば毒素はその活性を失います。
「十分に火を通せばOK」というわけです。毒素さえ体内に侵入しなければ中毒はおこりませんし、たとえ芽胞が私たちの体内に入っても、腸内細菌さんたちが倒してくれるので安心です。ありがたや腸内細菌さま。

ただし、1歳未満の乳幼児は別問題です!
おとなと違って腸内細菌はまだまだ未熟。おなかの中もベイビーです。
細菌が侵入してしまえば、体内で増殖が進行し、それに伴って毒素がどんどん産生されます。

過去に問題となった食材は「ハチミツ」。
かつては離乳食としての需要もあったこの食材。しかし、ハチの体に付着した菌(芽胞)がハチミツに混じってしまうことも…。それをなめた乳児がボツリヌス症を発症してしまうという事故がアメリカで1976年に、日本では1986年に初めて報告されていて、「1歳未満の乳児にハチミツを与えないこと」という通達が翌年に厚生省(当時)から出されるほど。

さらに、1996年には「野菜スープ」が原因と推測されるボツリヌス中毒が発生。

土の中にも潜んでいるボツリヌス。おそらくは野菜表面に付着した菌が落ちておらず、スープに混じった可能性が濃厚です。野菜類はよーく、よーーーく洗って食べましょう。
もちろんハチミツも1歳未満の赤ちゃんには与えないでください。
 
 
あれ。
気が付けばヒトの中毒の話ばっかりになってしまいました。

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