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蓮沼浩のコラム
第425話:やっぱり、肺炎にしてはいけない その4

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2015年11月5日

 車で往診を回っていると、田んぼで皆さん稲刈りです。見ているだけなら、何とものどかな風景ですが、ワラ集めしている農家さんはもう大忙しです。本当にお疲れ様です。

 鹿児島大学での最新の研究結果では、慢性肺炎の肺胞洗浄液を使って菌の培養をおこなうと100%マイコプラズマ・ボビスが検出されたという報告が出ています。これは非常に重要なことを示唆している、重大なポイントだと思っています。
 パスツレラやマンヘミアなどの細菌は昔から牛の肺炎起因菌として注目されていましたが、これらに加えてマイコプラズマ・ボビスをいかにしてコントロールするかということが今後の肺炎治療や予防では重要になってくることがはっきりと示されたからです。
 マンヘミアやパスツレラはワクチンが開発されているので何とかできるのですが、問題はマイコプラズマです。とにかくこのマイコプラズマは感染が簡単に牧場全体に広がってしまうので対策が非常に困難になります。乳牛の世界ではマイコプラズマ性乳房炎は牧場に壊滅的な被害をもたらす可能性のある最重要疾病として酪農家さんや獣医さんはいつも神経をピリピリさせています。人さまの世界でも、最近はマイコプラズマ性肺炎がかなり増えているという報告をみました。子牛の世界ではマイコプラズマ性中耳炎が牧場で猛威をふるってもいます。
 とにかくマイコプラズマは感染が簡単に広がります。感染を防ぐにはどうすればよいのか?次回はこの点について考えてみようと思います。

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