2015年7月31日 今までお母さんのお腹の中で暮らしていた子牛は外の環境に出たことで様々な体の変化が起こります。その一つとして、赤血球が変わります。胎児期に子牛の体の中に流れていたのは胎児赤血球で、ヘモグロビンの構造が違うのです。(血液の話は戸田獣医師が詳しくコラムに書いてくれています)胎児はお母さんから届いた血液中の貴重な酸素をしっかり受け取るために、成牛の赤血球よりも酸素をキャッチする力が強いようにできています。しかし、外の世界に出たら今度は自分自身の肺で呼吸し、酸素を取り入れられるようになるので、子牛の骨髄は成牛赤血球を作り始めます。しかし、今まで流れていた胎児赤血球を全て成牛赤血球にするまでには当然のことながら、ある程度の時間がかかります。なおかつ、子牛は生まれたのち急速に(特に和牛で)成長をするのでさらに必要な血液量が増えます。よって、新生児の生理的な貧血が起こってしまうのです。 貧血になってしまうと、子牛の体力や免疫力も落ちてしまいます。なので、下痢などがおこりやすくなってしまうのです。これを予防するためにも鉄剤を子牛に打ってあげることは非常に重要です。 前の記事 第91話:子牛についていろいろ③ | 次の記事 第93話:内の飼料より隣の飼料 |