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戸田克樹のコラム
第44話「ちばなし⑪~答え合わせ~」

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2015年7月28日

日本各地、甲子園の県予選で盛り上がってますね。
高校球児の暑い夏、今年もたくさんのドラマが生まれることでしょう。
会場まで応援に行くみなさん!熱中症対策はしっかりしっかりぃ~♪ですよ。

さて、前回のコラムで突然みなさんに出題したクイズ、覚えていらっしゃいますか?
「赤血球が普通の大きさの貧血って何???」
でしたね。

ちゃんとしたサイズの赤血球が作れてるのに貧血ってどういうことや!
大きかったり小さかったりしたら酸素うまく運べないのは分かったけど、サイズいいなら貧血にならないんとちゃいまんのん??

って感じですよね。
 
 
正解は

赤血球の喪失や破壊、産生異常

なのでした!

具体的に言えば、
出血」により体の外に血液そのものが失われてしまった状態や、
溶血」により赤血球が血管の中でどんどん壊れっちゃった状態
です。

あれ?産生異常っておかしくない?
サイズがいいなら正しく作れてるんじゃないの?

そう思った方、鋭い!!
ここでいうところの産生異常とは、「血球をつくるパワー」の低下を意味します。

腫瘍などによって骨髄機能に障害が起こり、骨髄という「血球産生工場」の稼働率が落ちてしまった状態を指しているのです。

ちなみに、骨髄機能障害による貧血は「再生不良性貧血」といわれ、赤血球以外の血球(白血球や血小板)も減少しますので、貧血のときにこれらの数が減っていないかは要チェックですね。

出血による貧血は牛ではめったにおこらないでしょうし、溶血性貧血も予防・治療法がありますのでいいのですが、工場である骨髄に異常がある再生不良性貧血はやっかい。
牛さんの世界では「ワラビ」がこの貧血を引き起こす原因としては有名ですね。

「粘膜から出血しとる!!( ゚Д゚)」
「血尿しちょっど!!(>_<)」 「膀胱に腫瘍ができてるっちゃわー(‘Д’)」 なんていう症状はワラビ中毒の典型。 現在はワラビの除去も進みワラビ中毒の報告は少なくなりましたが、放牧される機会のある牛さんではこうした症状がでてこないか十分に注意しなければいけません。 症状の進行は早く、さらに治癒率もあまり高くないので非常にやっかい。 やっかい、やっかい、やっかいです。

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