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戸田克樹のコラム
第38話「ちばなし⑤~赤血球の数~」

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2015年6月16日

これ、元気な牛の赤血球の基準値なんです。
個体差を考慮すると、500~1000万/μLの範囲にあるのが正常って感じでしょうか。

μL(マイクロリットル)…( ゚Д゚)???
あまり目にしない単位ですが、μ=10の6乗なので、0.000001Lとなります。
よくわかりません。このあたりはおいておきます。
大切なのは赤血球の数が濃度であらわされているということです。

多いの?  少ないの?

検査する上で、この2つが重要となってきます。
まずは検査値が「大きい」場合について考えていきましょう。

赤血球が多いってどーゆーこと?
考えられるのは「赤血球そのものが増える」場合と「液体成分が減った」場合の2つ。

赤血球そのものが増えることは通常の飼い方であればあまり遭遇することはないでしょう。
では、液体成分が減る場合について考えてみましょう。

赤血球数が同じでも、溶けている液体の量が変われば濃度は変わります。
検査値(濃度)が大きい=血液が濃い
ということが推測できるというわけです(図参照)。

基準値を超えた赤血球数値が得られた場合、「脱水が起きているのではなかろうか。」ということが推測できるわけです。

ちなみに…。
赤血球そのものが増える場合ってのはどんなときなのでしょう。
ヒトではよく「多血症」なんて言われます。
高地などの低酸素下で長期間生活していると、私たちの体は酸素運搬能を高めるために赤血球そのものを増やして対応しようとするのです。んー、進化ってすごい!

酸素運搬能力が高まるならいいじゃないか♪
高地で暮らそうかなぁ~☆

そう思いますよね!(え?思わない??)
でも、赤血球が多くなると、血液の粘度が上がるっていうデメリットも生じます。
血液ドロドロ状態になっちゃうんです。ネバネバ、ドロドロした血液を流すために、心臓の負担も増加。いずれ、体に不調をきたすようになってしまうのです。

次回は逆に検査値が小さい場合について書き書きしていきます。
つづく

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