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数面麻子のコラム
第82話:風邪の予防について考えてみる⑬

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2015年5月22日

 ワクチンの効果を阻害する要因は他にも牛さんの免疫が十分に成熟しているか、また機能が低下していないかも重要となってきます。
幼若な動物はどうしても免疫系がまだ成長段階なのでワクチンを接種してもしっかりと免疫誘導が起こらない場合があります。また、新しく市場から導入されたばかりの牛さん達は当然のことながら、新しい群編成に慣れるために体力を消耗し、免疫力も低下します。そうすると、ワクチンの効果が最大限に発揮されないわけです。なので、それらが行われてから最低2週間は牛さんにワクチンを打っても免疫応答がいまいち、なんてことも起こり得ます。ですが、免疫低下の時期にはもちろん病原体の感染も起こりやすくなるため、しっかり予防はしておきたいものです。そこで、マクロライド系抗生物質を予防的に打っておくと牛さんを肺炎から守ってくれます。
 その後、できれば2週間以上過ぎて、牛さんが環境に慣れてきたころにワクチンを打ってあげると、牛さん体内の免疫もしっかり働いてくれるでしょう。

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