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佐々隆文のコラム
「プリッドの話−3 「本当は繁殖障害かも」」

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2007年3月19日

 教科書には、3回以上人工授精を行っても妊娠しない場合をリピートブリーダーと言って繁殖障害の一つとしています。しかし私が担当している和牛の繁殖農家さんの中にも3回授精しても種が付かない母牛などたくさんいますし、それらが全部治療対象になるとは思いません。
 では、どのようなものが治療対象になるのか、と言った場合に一つの判断となるのは発情周期がきちんとしているかどうかです。農家さんの中には発情周期が不定期なものに何回もつける方がいますが、それではなかなかうまくいきません。牛の発情周期は通常21日と言われます。ただし黒毛和種などの肉用種では20日が多いようです。20日周期とは言っても、未経産か経産牛かによっても周期は少し違いますし、分娩後などは発情周期が狂うこともよくありますので、見極めも重要なのですが・・・。
 例えば、分娩後60日以降で良い発情を繰り返すものの、それが1週間や10日といった短い間隔で、何回AIを行っても妊娠しない場合は一度獣医さんに診てもらった方が良いと思います。卵胞嚢腫などになっていることも少なくありません。
 また60日前までは良い発情を周期的に繰り返していたのに、過ぎたら発情が分からなくなったりします。こういう場合も発情を待つより治療を行った方が良いです。
 次回からはこれらのいろいろな繁殖障害について書きたいと思います。
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