(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第6話「トホホな話①」

コラム一覧に戻る

2014年10月20日

どんな職場にも「新人」さんはやってきます。
そう、シェパードにも。
夢や希望を抱くと同時に、光り輝く未来だけを描き、気概と熱意を身にまとった「新人」さん。しかし、現実はときに厳しいもの。彼らの行く手を阻み、がむしゃらに突き抜けようとする若い力さえ、その前では無力なのです。

 という冒頭から入りました今回のコラム。
 そんな「新人さん」のひとりである私が、本日より初めてのシリーズものとして、これまでに体験した現場でのエピソードをみなさんにレポートします。いつまで続くのか、今回だけになるのか、はたしてはたして!
 
 
それでは!まずはこちらのエピソードから始めましょう☆

Episode 1:『チューブあむあむ事件
 最初は保定さえうまくできなかった私も、診療回数を重ねるうちに少しずつ治療技術も身についてきました。そして、初めて子牛に点滴した際に事件は起こったのです。

「子牛がバタバタ暴れてうまくさせなかったとか?」
「子牛のつぶらな瞳にまけて針入れられなかったとか?」

確かに、そういった問題もあったのかもしれません。
しかし、現実はもっと厳しいのです。

「よし、うまく入ったゾ。初めてで苦戦したけど、何とかできた。追加する薬剤を持ってこないと」

そう、このときの私にはまったく想像もできなかったのです。
これから起こる惨劇を…。

「これとこれと…、あとこれも入れなくちゃ。よーし、これで元気になるゾーー…」
「!!!!????????」

あむあむあむっっっ!!!!!

第6話「トホホな話①」
「なんてことでしょう。元気ぴんぴんな子牛ちゃんが、ゆらゆら揺れる点滴管に好奇心をそそられて、あむあむしているじゃないですか。」

事件です。
1分にも満たない時間でした。飼槽に寄ってモグモグと食事をしていたはずの子牛たちが、まさかこんなとてつもない暴挙にでるなんて。幸いにも管は外れておらず、点滴をつづけることができました。この日ほど子どもの無邪気さを恐ろしく思った日はありません。

「いかなるときにも子牛から目を離すことなかれ」

はい。肝に銘じます。

つづく。

|