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第53話:傷の治し方 その① |
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2014年9月26日
昔、擦り傷ができたときにはどのように対処するように教わりましたか?
私が小学生くらいのころ聞いたのは、まず消毒薬をかけて後はしっかり乾かすというのが定番だったと思います。
ところが傷を早く治すには、いままで行われていた「消毒と乾燥」ではなく、「洗浄と保湿」が人での治療においては一般的になりつつあるようです。牛さんでも切り傷や皮膚炎に湿潤療法を用いている例が見られます。もうみなさんもご存じかもしれませんが、傷を早く治すには水道水で勢いよくしっかり洗い流し、傷が乾かないように保湿してあげる方が良いのです。
消毒をするのは傷表面に存在する細菌を殺すという意味では重要ですが、細菌がやられてしまうと同時に私たちの体に備わっている傷を治す働きをする細胞もやられてしまいます。それよりは、きれいな水(水道水で十分です)で勢いよく洗うことで、ある程度の細菌を流してしまうことの方が効果的です。また、傷口から透明な液体が出てくるのを見たことがあるかと思いますが、あの液体が傷を治すのに重要なものを含んでいるのです。ところが傷口が乾燥してしまうとその液体が出てこずに、傷の修復が遅れてしまいます。

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