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今回からは主に肺炎についての治療を念頭に書いてみようと思います。前回お話ししたように獣医さんは何を根拠に抗生物質を選んでいるのでしょうか。確かに値段の高い、安いという点もあると思います。他には薬の薬理作用、投与量、休薬期間、投与方法、使い勝手、今まで使ってきた経験、薬屋さんの勧め、さらには勘(笑)などあるかと思います。しかし、ここでさらに一歩踏み込んで薬剤耐性についても把握することがこれからの診療では非常に重要となってきています。薬剤感受性試験というものがあります。この試験を行うことで牛さんの主要な肺炎起因菌がどの程度抗生物質に対して耐性を持っているかを判断することができます。当診療所でも年に1回、薬屋さんと共同で6軒の主要な牧場で感受性を調べています。この結果をもとに少しでも効果が落ち始めている抗生物質は基本的に一切使用しないようにしています。全農場で行うことはできませんし、限られた範囲の話かもしれませんがこの検査をすることで診療所での使用薬の方向性をきめ、肺炎治療における大きな「軸」ができるので大変ありがたい検査です。このことで耐性菌の発生を少しでも抑えることができればと思っています。
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