(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第230話 「牛RSウイルス病 その2」」

コラム一覧に戻る

2011年6月2日

 牛RSウイルスの他の特徴として、肥育牛の重症呼吸器病があげられます。この場合も小生の経験では大体肥育が始まって1年以内の牛さんに発症している感じがします。とにかく口を開けて舌を出し、激しい呼吸器症状を呈します。呼吸も荒い、荒い。こりゃー気合を入れて治療せんとやばいぞ!とテンションがあがる症状です。さらにひどい場合は皮下気腫(ひかきしゅ)というものもできます。牛さんの聴診をしようと体の表面を触ると「ぶちぶちぶちぶち・・・」と異様な感覚が皮膚にあります。これは胸腔から空気が漏れて皮下にたまっている状態です。これができるのも牛RSウイルスの特徴のひとつですのでめったにありませんが頭の片隅に入れておきたいですね。この皮下気腫はなくなるまでに結構時間がかかります。餌を食べるようになって症状が落ち着いてきてもなかなかこの皮下気腫はとれません。しかし、そこまで回復していれば後は自然と治りますので心配無用。最初は「気腫疽」か「悪性水腫」じゃね〜だろ〜か?と思いますが、肥育では大体これらの病気は突然死した場合に死亡牛の体表を触診する事で確認されることが多いような感じをもっています。極々まれに緊急と畜した牛さんが「悪性水腫」だったという報告を聞いたことがありますのでもちろん注意はしないといけません。

|