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蓮沼浩のコラム
「第202話 「名前について考える その1(BVD-MDのお話)」」

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2010年10月14日

 BVD-MDの最大の問題は何だ?と思いをめぐらして考えてみると、小生はある一つの結論にたどり着きました。このポイントを指摘している人の話をあまり聞いた事がないので実は全然大事な事ではなく、トンチンカンな考えかもしれません。しかし、小生は非常に疑問や違和感を覚えた事があります。

 それは・・・・名前です。

 「牛ウイルス性下痢・粘膜病」といわれると次のようなイメージを多くの人はもつのではないでしょうか。
 「どうやらこの病気は牛にかかるウイルス性の病気であり、下痢と粘膜病を発症するのだな。フムフム」
という感じです。まあ確かにそのとおりなのですが・・・。

 しかし、ここで多くの人はこのウイルスは下痢を起こすウイルスなのだと思ってしまいます。ヨーネ病のように伝染性の下痢が広がる病気だと思ってしまうのではないでしょうか?そして粘膜病に関しては「粘膜病、何それ?粘膜の病気?はあ?」で思考回路は止まってしまうのではないでしょうか?ところが小生が知っている例や、様々な報告を調べてみるとそのほとんどに今まででは考えられない牛さんの呼吸器病の大発生があります。どの牛さんも軒並み熱発し、治療しても治りが恐ろしく悪い。もちろん慢性下痢などもあるのですが、熱が高くなり餌を食べなくなる牛さんが激増。診療回数が普段の8.3倍などという報告もあります。下痢とか多くの人がよくわからん粘膜病なんていう病気じゃなくて、一番農家さんや獣医さんが現場で感じることは「恐ろしく治りの悪い呼吸器病が広がっている、やべえ」のような気がするのです。

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