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蓮沼浩のコラム
「第195話 「分娩前のBCS雑感」」

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2010年8月19日

 今回は分娩前の母牛のBCSについて雑感を述べてみたいと思います。まず酪農の世界では乾乳期にはBCSは3.25~3.50であることが良いといわれています。和牛の場合、小生はそこまで厳密にする必要はないのではと思っています。とにかくBCS2.50~3.50の間であれば特に問題なしと判断しています。それよりも重視していることは分娩前3ヶ月から牛さんを痩せすぎさせてしまうことに注意してもらっています。妊娠後期には胎児が急速に大きくなり、胎児の発育に必要な養分量は母体から優先して胎児に供給されます。ここで母牛が低栄養状態となると分娩後の泌乳性や繁殖性が低下することがわかっています。母牛の維持飼料だけでは分娩が近づくにつれて痩せてきてしまいます。そこで必要なのが母牛への増し飼いです。ここでどのくらいの量を増やせばよいのかという問題が出て来ます。ここのポイントはなかなか色々な意見があり一概には言えないのですが、BCSの観点からいえば理想としては分娩が近づいてもBCSの変動が0.00から+0.50程度と考えています。栄養価の高い良質な粗飼料を与えたり、濃厚飼料を少し増給したりするときにあわせてBCSをしっかりと意識して分娩前の餌の量を調節してみると間違いは少ないのではと思っています。
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