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蓮沼浩のコラム
第377話:安産

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2014年5月8日

 農家さんから夕方往診依頼。昼ごろから産気づいているのだけれど、一向に生まれる気配がない。何か問題があるかもしれないからちょっと見てくれとのこと。往診に向かう途中、色々と考えます。胎児が大きすぎて生むことができないのかな?中で破水が終わっていないかな?胎盤剥離などしていなければ良いのだが。もしかして逆子かな?などなど色々と考えます。
 現場に到着して聞き取りを行います。どうも破水がまだ終わってないようだ。中で破水していなければ良いのだが・・・・。
 そんな事を考えながら母牛をつないで診察の準備。そして静かに産道から手を入れると、すぐそこまで胎児がきています。子牛のバイタルサインは正常です。そして手を入れた途端に破水。手を入れた感じでは子牛は小さいけど、産道は結構狭いです。少し早いけど娩出することに決定。すぐさまロープを頭と手にかけます。しかし、手を入れると母牛がかなり激しく喚くのでこれは結構引くのが大変かもと農家さんに伝えます。念のため滑車を設置しておきましょうと話します
 滑車の設置もOK!あとは引くだけとなった途端、何と子牛が自然にずるずると出てくるではないですか!滑車もゆるゆるで引くとかいう状況ではなく、とにかく自然に出てきます。思わず「ああ、出てきっちまう!!」といってる間に無事娩出終了。思わず途中で胎児を押し戻そうと思ってしまった小生、農家さん達と大笑い。いつもこんな感じで安産ばかりだといいのですが、お産は本当に気が抜けません。せっかくなので生まれてきた子牛ちゃんには386話でお話しした「猿手」のポーズをとってもらいました(笑)。

第387話:安産_01
あれよあれよという間に生まれました。

第387話:安産_02
これが噂の「猿手」です。生まれた子牛ちゃんにモデルになってもらいました。

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