2013年12月24日 乳頭糞線虫の大量寄生は牛さんでぽっくり病(突然死型乳頭糞線虫症)を引き起こすというのはご存知の方も多いかもしれません。ぽっくり病は健常に見える子牛が突然寄生を発し、心疾患のような病態を示して数分で死亡する疾病です。大量寄生というとどれくらい?ということで調べてみると、糞便1g中に50000個の乳頭糞線虫の卵が見つかれば危険とのこと。とにかくものすごい数の卵が糞便中に見つかるくらい牛さんの小腸内に成虫がいるということです。このぽっくり病は発生当初は原因が分からず、不明疾患とされていました。当然ウイルスや細菌検査をしても原因となる病原体が見つからないのに、発症した牛さんと同居していた牛さんにも発症する傾向があり、農家さんに大きな不安を与えていました。原因が解明され始めたのは1985年のことだそうです。実験的に大量の成虫を移植して突然死を再現できたことから成虫の多数寄生が原因であることが分かったのです。ではなぜ小腸にいる成虫が心臓の機能に異常をもたらすのかは未だによく分かっていません。 前の記事 第16話:寄生虫の話⑬ | 次の記事 第18話:寄生虫の話⑮ |