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数面麻子のコラム
第15話:寄生虫の話⑫

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2013年12月7日

 前回糞線虫の感染幼虫は皮膚から侵入するとお話しましたが、皮膚から進入する際に牛さんには強い痒覚と発赤、また出血がみられ、その後痂皮が形成されることが実証されているようです。出血までは見られないまでも、牛さんが痒みを感じて足を頻繁になめたりしている場合は要注意かも知れません。皮膚から進入した幼虫はその後血管内に入ることで、筋肉、頭部皮下、咽喉頭、食道、胃へと全身を移動していき、最終的には小腸にたどり着きます。しかし、一部の移行幼虫は気管に迷入して肺に入り込み、肺炎を引き起こす場合があります。小腸まで無事たどり着いた幼虫はそこで牛さんの栄養を横取りしながら成虫となり、卵をせっせと生産するのです。乳頭糞線虫の感染が重度の場合は、粘液便や出血性腸炎、食欲不振などの症状が見られます。ですが、多くは少数感染により牛さんが病気にならない程度に栄養を横取りしていつの間にやら牛さんが発育不良になっているのです。

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