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蓮沼浩のコラム
「第90話 「心音雑感」」

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2008年6月26日

 今回で心臓の聴診についてのコラムは終了です。今まで色々と心臓の聴診について書いてきましたが肥育牛の場合ほとんど治療方法がないというなんとも情けない話ばかりでした。しかし心雑音が聞こえた場合は非常に予後が厳しいですが心音のリズムがおかしく心悸亢進している場合などは他に全身状態に特別異常が見当たらなければ経過観察しても特に問題がない場合もあります。導入してから明らかに心音にギャロップ(馬の走るような音)が聴こえ、心悸亢進が著しい牛さんがいました。中熱が続いていたので何日間か抗生剤で治療し、念のため磁石を飲ませていましたが現在肥育して1年ちょっとになりますが途中で特に病気になることもなく今もがんばって大きくなっています。健康な牛さんでも頚静脈の拍動が見られることもありますし、脈拍に不整が少しあっても大丈夫なことは意外と多いものです。あまり神経質になりすぎるのもいかがなものでしょうか。最後になりましたが肥育牛も中期を過ぎて仕上げになってくると心音は非常に聴き取りにくくかすかに聞こえる程度です。なれない人はおそらくほとんど何も聴こえないでしょう。大丈夫だと思いますが、間違っても聴診しているときに「心臓が止まっています。」などとナイスな発言をしないように注意してください(笑)。
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