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蓮沼浩のコラム
「第77話 「肥育牛の低体温について」」

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2008年3月27日

 今までは高体温についてのお話でしたが、今回は肥育牛の低体温について考えて見ましょう。教科書的には37.5℃以下を低体温と定義します。肥育牛の診療でも37.5℃以下になることが時々あります。ほとんどの場合はうまく体温が測れていないことが問題の場合が多いです。しっかりと測りなおすと38.2℃などにあがっていることが多いような気がしますので、少し低いと感じたときには小生はもう一度しっかりと測りなおすようにしています。他には激しい水下痢をしているときなど37.5℃近くまで体温が低下することがあります。また、治療で副腎皮質ホルモンなどを使用した場合も37.5℃近くに体温が落ちることがあります。熱が急速に低下することを分利(ぶんり)というのですが、熱の分利後には体温は正常以下に下降することがあります。副腎皮質ホルモンを使用した場合はかなりの確立で分利がおきやすいですね。普段の診療では37.5℃ぐらいまでならば元気があればあまり心配はしないのですが、さすがにちゃんと体温を測っても37.0℃以下の場合は何かしらのショック状態か非常に重大な全身障害が起きている可能性があるので要注意です。体温だけでなく、しっかりと総合的に判断しなくてはいけません。
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