2013年9月21日 牛さんの糞便とともに排出されるアイメリアの外界型であるオーシスト。オーシストは排出されたばかりの状態では感染性を持っていません。酸素、温度や湿度の存在下でスポロシストを形成しスポロシスト内にスポロゾイトを形成することで「成熟オーシスト」となり、牛さんに感染できるようになります。 オーシストの壁は消毒薬が容易に浸透しないような構造になっています。唯一有効である消毒薬はオルソ剤です。2%のオルソ剤の中では2~5時間でほとんどが死滅します。消毒薬に対しては強い抵抗性を持つオーシストですが、弱点は高熱(乾燥も苦手)。私が大学で研究している時、ヤカンで100℃のお湯を沸かして実験器具に付いたオーシストを殺していました。100℃では1~2秒で、60℃では30分で死滅してしまうのです。しかし、牛舎に100℃のお湯をまくのは牛さんも危ないし手間もかかるし現実的ではありません。牛舎ではとにかく環境中のオーシストの数を増やさないことが大切。そのためには下痢や血便をする牛さんの部屋から別の部屋へ移動するときは長靴を洗う、床はなるべく乾燥させる、子牛にバイコックスを飲ませるなど、各々の農場でできる対策をすることが重要です。 前の記事 第4話:寄生虫の話② | 次の記事 第6話:寄生虫の話④ |