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今回は貧血と誤診しやすい症例に先月の上旬に出会ったので番外編としてちょっと紹介してみようと思います。そのときは夕方暗くなってからの往診依頼。「先生、生産母牛の足元がふらつき様子がおかしいからすぐに来てくれ。」とのこと。とにかく車を走らせ現場に急行。問題の牛さんは一応立っているのですが、ぼ〜〜としています。歩かせてみると足元はかなりふらついています。「あれれ??何か変だぞ??」この牛さんは妊娠7ヶ月でした。特に今まで問題はなく、夜の見回りのときにスタンチョンに首を突っ込んで座り込んでいたそうです。小生が到着したときは何とか立ち上がり前述の状態。体温は38.7℃。平熱です。聴診をしてみると気道と肺全域に重度の湿性ラッセル音。第一胃運動は弱くなっているけれどもあります。直腸検査をしてみると宿便はあり、やや固めであるが状態は良い。胎児も中子宮動脈の典型的な拍動が認められたので生存していると思われ一安心。なんだろうと思いふと牛さんの目を見つめると・・・・妙に冷たい瞳。あれれ??もしやと思い眼結膜を見ると真っ白ではないですか!!これはと思い外陰部の粘膜を見るとここも真っ白。膣鏡で膣の中をのぞいてみるとここも超真っ白!!ついでに口をあけて中を見ると歯肉も真っ白!!「これは何か大出血がありものすごい貧血が進んでいるぞ!もしかしたらスタンチョンに首を入れているときに何かの事故で首か胸部の血管を傷つけて大出血がおきているのかな?だから気道や肺に湿性ラッセル音が聞こえるんだ!」。このときはそのように思っていました。しかし、診察が進むと・・・・。(つづく♥) |