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蓮沼浩のコラム
「第50話 「輸血量と投与速度」」

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2007年9月6日

 輸血をするとき一体どのくらいの量を輸血するのでしょうか?そしてどのくらいの速度で投与していくのでしょうか?一般に1回の輸血量の限界は全血液量の10〜20%といわれています。47話で説明した450kgの牛さんであれば36Lの血液があります。よって10〜20%とすると3.6L〜7.2Lが1回の輸血量の限界。また、大出血などの場合に必要な輸血量は血液喪失量の20〜40%を投与すれば骨髄が反応できるまでの生命維持には十分であるといわれています。しかし実際の臨床現場での投与量は成牛でも最大2Lぐらいであり、ほとんど1L以下ではないでしょうか。そして子牛への投与量は500ml前後が多いと思います。では次に投与速度はどのくらいが良いのか。教科書には「最初10ml/100kgの血液を5〜10分かけて投与しながら症状を観察し、問題が無かったら10ml/kg/hrの速度で投与する。そして20ml/kg/hrの速度は超えないようにする。」となっています。小生は牛さんの大きさに関係なく大体500mlを1時間半ぐらいで終わるつもりでセットしています。でも時間どおりに終わることはほとんどないのですが(笑)。そして最初の20分ぐらいは症状に異変が起きないかをよく観察しています。
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