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蓮沼浩のコラム
「第47話 「牛さんの血液型」」

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2007年8月16日

 輸血の説明に入る前に牛さんの血液について少し説明しておこうと思います。人間にはA型、B型、O型、AB型の4種類があります。そしてRh(+)やRh(−)などの血液型因子があります。では牛さんはどうなのでしょう。ちょっと古いデータなのですが現在国際的に容認されている血液型は12種類あります。A、B、C、Fv、J、L、M、N、Su、Z、R’s’、F’型です。結構ありますね〜。驚きです。そして血液型因子はなんと80種類以上。では実際臨床現場ではこの血液型を確認して輸血をしているのでしょうか?おそらくほとんどの臨床現場にいる牛の獣医さんは血液型をあわせることは出来ません。そのかわり左に説明している適合試験(cross match test)を行います。そして理想をいえば適合試験を行いその結果を見てから輸血するべきなのですが「牛の血液中に同種抗体が先天的に存在することは稀であり、稀に先天的に同種抗体が存在したとしても低濃度であり、また活性が低いので初回輸血で輸血反応が起こることはほとんどない。」ということを根拠にしてそのまま輸血します。ここで注意しなくてはいけないのはあくまでも初回輸血のみ比較的安全であるということです。輸血をした後には同種抗体が急速に増加するため時間がたつと輸血反応が起きる危険度が上がります。時間を空けて再び輸血する場合は適合試験をしてから輸血をしなくてはいけません。だから必ず輸血をした牛さんは憶えておくようにしましょうね。
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