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蓮沼浩のコラム
「第25話 「砂金袋となった膀胱」」

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2007年3月10日

 なんとか無事バイパス手術も終わり、排尿もしっかり出来るようになって一安心。1週間から10日後に抜糸して経過観察。1ヶ月ほどしてもうすっかりその牛さんのことを忘れたころに農家さんから連絡がある。「先生、前に手術してもらった牛がまた様子がおかしか〜?もう一度診てくいやん。」嫌な予感がして往診に行くと案の定、牛さんが典型的な尿閉を起こしたときの疝痛症状を呈しています。直腸検査をすると膀胱はパンパン。またしても結石が詰まって尿閉を起こしています。たいてい会陰部に作ったバイパスの出口に結石や膿の塊が詰まっていることが多いです。この場合はペアンなどを使い結石をかき出します。ガリガリと感触があるのですぐにわかります。石が取れると排尿し、事なきを得るのですが、何度も繰り返す牛さんもいます。そして多くの場合その牛さんの膀胱の中には大量の石がザラザラ入っていたりします。直腸検査によりうまくすると砂金袋のような膀胱を確認できます。もうザックザック金ではなく、石が入っています(涙)。ウロストンやカウストンなど投与しているのですがなかなか厄介です。このような場合腎臓に問題がある場合が非常に多いので早期出荷を検討する必要があります。
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