(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.228:牛の病気―頭部―(9)

コラム一覧に戻る

2013年4月10日

9、斜視

原因と病態
先天的な眼球の視軸異常。
ジャージー種とショートホーン種で単一常染色体劣性遺伝が報告されている。(学窓社 「牛の先天異常」 監修 浜名克己より)
後天的な眼筋のバランスの崩れや外傷による発症の可能性もあると思われるが、これまで現場での遭遇はない。牛の眼球が側偏しており、気が付きにくいことも関係している可能性があると思われる。

症状
生まれた子牛の眼球の視軸がずれていることで発見される。
遭遇したほとんどの症例で、「両側性に内側下方へ」視軸がずれている。
また、中等度の眼球突出を伴い、正常牛と比較して睫毛が上向く。そのため斜視の牛は一見「驚いたような」目を見開いた容貌となる。これはビタミンA欠乏症時と同様に、光量の低下に対する代償性変化の可能性がある。
程度によっては視野が遮られ事実上盲目となっている可能性がある。

NO.228:牛の病気―頭部―(9)01

NO.228:牛の病気―頭部―(9)02

農家さんができる処置
特に治療処置は必要なく、弱視に伴ういじめや不自由に対するケアを行う。

獣医師の治療
特になし。

予後
症状が軽度であれば繁殖母牛、肥育牛として以後の飼養に問題はない。

|