[緊急通知]
起立不能が発生した場合の注意(ボツリヌス症の懸念について)
鹿児島内の農場より、起立不能の症状を示す牛の多発の相談が3件寄せられています。状況より伝染性の病気である確率が高いと思われます。現在、疑われる菌として、現在クロストリジウム菌の仲間であるクロストリジウム・ボツリナム(ボツリヌス菌)の検査を家保に依頼しています。
ボツリヌス菌の症状は、後肢から始まる弛緩麻痺からの起立不能や舌・口腔の麻痺などで、症状の進行が早いのが特徴です。クロストリジウム属の特徴として鳥が運ぶ、嫌気性菌である(酸素を嫌う)、検出しにくい、という点があります。
確定診断がでたらワクチンを実施しますが、それまでは、1:生菌剤を倍に増やす、2:発症牛の同居牛やその周囲の牛にペニシリンを打つ、3:鳥の糞を飼槽や水槽から可能な限り除去する、4:鳥の進入を防ぐ、などを心がけて下さい。
ボツリヌス菌は酸素を嫌うので、万が一真空パック牛肉に紛れ込むと、致死性の食中毒を起こし、信頼の低下ではすまされません。疑いのある牛の出荷は獣医師の指示を仰ぎ、また食肉検査場への診断書も詳細に記載しておきましょう。
つらい時代に追い打ちのような状況ですが、必ず防止できます。力を合わせてがんばりましょう!
2011年4月9日(土)
(有)シェパード 獣医師 松本大策