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松本大策のコラム
分娩舎の床管理

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2012年11月5日

 皆さん、分娩舎(分娩室)の床の管理は一生懸命なさっていると思います。
しかしながら、ちょっとだけミスして分娩後の繁殖障害を引き起こしてしまっているケースがあるので、今回はそのお話をします。

 分娩前の床の管理はどうしていますか?と質問すると、熱心な農家さんでは「そりゃ、きちんと消毒してきれいなオガクズを敷いているよ。」という返事が返ってくることが多いです。

 しかしここでもう一度、じっくり考えてみましょう。分娩の時は、尿膜や羊膜、それに胎児が、産道を出たり入ったりします。このときにオガクズなどが産道内に入り込んでしまうことがあります。
 また、子牛が娩出された瞬間に、子宮内が陰圧になって、オガクズや敷きワラのホコリなどを吸い込んでしまうこともあります。
 注意しなければならないのは、オガクズなどにはクレブシエラなどのバイ菌が、たくさんくっついているということです。

 このバイ菌によって子宮内膜炎を起こしたり、産道に傷でもあろうものなら写真のような化膿性のひどい頸管炎などを起こして、その後の繁殖に使えなくなることもあるのです。

 僕は冬でも、分娩舎の床はコンクリートをしっかり消毒して乾かしておき、胎児の娩出後まで敷料を入れないやり方を推奨しています。これで、それまで気がつかなかった母牛の子宮内膜炎による繁殖障害が減少する経験をたくさんしていますから、問題のある農場では、試しにやってみてはいかがでしょうか?

分娩舎の床管理

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