2012年10月23日 ~青年時代~ 31年前(当時19才)、教務主任の許可を得、11月1日から4日間兵庫県湯村家畜市場に行った。寒い日だった。温泉街の中を通り、坂道を登り切った所が市場。本場但馬牛の子牛セリ市を見るのは、初めてだった。つなぎ場で手入れをしている最中だったが、少し様子が違っていた。通常、毛ハケで腹から背中、背中から腹へとブラシをかけるが、私が見た光景は、一本の小さい竹で腹から背中へと毛を立てていた。しかもていねいに、ていねいに! 事務所のとなりにある古びた‘セリ場’。あたりはブルーシートで覆われていた気がする。だみ声のセリ人の声、聞きなれない言葉で次々とセリ落される。初めて聞く声に慣れるまで時間がかかった。 二日目、度肝を抜かれた。手ゼリの迫力。250kgぐらいの子牛が、100~150万、200万、最高は403万円で落札。「なにすや!信じられなーい。なんで?」血統か、体型か、実績か、つるか、人か、様々な疑問。私の好奇心を煽った。もう居ても立ってもいられない。セリ終了後、すぐさまバスに乗り生産者を訪ねた。挨拶もそこそこに、403万円の母牛を見た瞬間、焼きついた。あの毛あじ。一生忘れることはない。 ・セリのどよめき どれも私の心を揺さぶる。 広島県での在学中、島根・兵庫・京都・近畿東海北陸肉牛共進会・福島全共・兵庫種雄牛オークション、見ておかなくてはならないものは全て見てきた。 (つづく) 株式会社百万石牧場 |