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松本大策のコラム
「疲れと疲労回復 その2」

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2009年7月27日

 前回、「疲れ」とは、体内で発生する毒物が蓄積することで、「疲労回復」とは、それらの毒物を除去する事だというお話しをしました。体内ではタンパク質の老廃物であるアンモニアや、運動したときに発生する乳酸などの毒物が常に発生しています。起きている間や激しい運動をした際は特にこれらの毒物がたくさんできるので休息や睡眠が必要となるのでした。ですから、疲労を蓄積しないためには、発生する毒物を少なくすればいいわけです。しかし、アンモニアや乳酸は生きている限り発生するので減らすのは難しいです。それではどうしたらよいのでしょう。
 じつは体内で発生する毒物は他にもいろいろあります。消化管内にはたくさん消化管内細菌が住んでいます。この中の悪玉菌が出すエンドトキシンやレシチナーゼ、オナラの臭いの元であるインドール酢酸やスカトールなどの細菌毒素はバカに出来ない毒性を持っています。これらも除去しないと大変なことになりますから、肝臓が中心となって毒素の分解をするわけです。腸内毒素(消化管内毒素)は、消化管内の発酵を改善してあげれば減らすことができます。つまり、消化管内発酵を改善することで、疲労物質が減るために肝臓の負担も減り、ひいては疲労回復に必要な時間も短縮出来る、というわけです。給餌の時間を一定にする、ストレスを与えない、生菌剤を給与する、などの方法で腸内毒素を減らすことができます。人でも「生菌剤を飲んでいたら睡眠時間が短くてもすむようになった」というお話を聞くことがありますが、これも腸内毒素が減ったおかげだと思います。
 それから、人間ではお酒などのアルコールも強い毒素ですからね。飲み過ぎたら疲れは取れにくいですよ。全国の父ちゃんたち、気をつけましょう。
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