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蓮沼浩のコラム
第290話: リスボン放浪記 その10

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2012年8月16日

 前回お話ししたバイオフィルム。さてさてこれはいったいどのようなものなのでしょうか。人間の歯にある歯垢も実はバイオフィルムの一種のようなものであるといわれています。簡単に言えば細菌が菌の外に分泌したヌメリのようなものでしょうか。このヌメリが菌の周りをバリアーのように取り囲み菌の集団を保護する役目を果たしているのです。このバイオフィルムのおかげで抗生物質の効果が落ちたり、自己免疫機構が上手く働かなくなったりすることがあります。なかなか厄介な代物ですね。治療に苦慮するマイコプラズマなどもバイオフィルムをつくるということを聞いたことがあります。他にもいろいろとあるかもしれません。今回の新型ワクチンは乳房炎起因菌がつくるバイオフィルムに対するワクチンなんですね。今までにない発想のワクチンです。小生はこの「今までにない発想」が大好きであります。現場でこのワクチンがどのような評価を受けてくるのか非常に楽しみです。まだ日本では発売されていないワクチンなのでおそらく近い将来きっと日本でも発売されるかもしれません。日本からも何か素晴らしい新しい発想の新薬やらワクチンなどがでてくるといいですね。これからの時代、イノベーションの重要性がますます重要になってきます。そんな気持ちからこのワクチンは小生が使うことはほとんどないと思うのですが注目してしまいました。

(続く)

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