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松本大策のコラム
「お腹にホッカイロ?」

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2009年1月26日


 先日、雪の中の牧場におじゃましてきました(C牧場さん、見てますか?)。実は、南国生まれの僕にはとても寒く、仔牛の防寒対策をどうしようか、と頭の中で考えて行ったのです。
 防寒対策というと、やはり防風対策や、カーフジャケット着せようか、それから弱い子にはヒーターを使って...などを考えます。
 でも、実際にその牧場に行ってみて、雪の中で元気に遊んでいる仔牛たち(写真 上)や、とってもいいウンチ(写真 下)を見ていてあることに気が付きました。「あ、そうか。牛さんはお腹の中に第一胃という、大きなホッカイロを持ってるんだ!」
 僕たち人間では、体温を作り出す最も大きな臓器は、足の筋肉と肝臓です。でも、牛さんの場合は、第一胃の発酵熱が、最も大きな体温産生源なのです。発酵熱は、穀物よりも粗飼料の方が大きいと言われていますから、良質の粗飼料を与えて、良い発酵を維持してあげること(給餌時間の一定とか生菌剤の給与とか、飼料急変を避けるとか、いろいろな方法があります)で、牛さんは体内に巨大なホッカイロを持っているのと同じ事になって、寒い雪の中でもポッカポカで元気だというわけです。
 ですから、前に挙げた寒さ対策は、第一胃の発達する前、つまり生後3ヶ月齢までの仔牛を優先的に、徹底してあげた方が効率的です。第一胃が発達したら、その発酵を健全に保つように精一杯努めてあげる事が、寒さ対策の面でも有効なのです。
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