(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第566話「食べるものを探す」

コラム一覧に戻る

2026年9月24日

***********************************************************
シェパードイチオシ情報
■ 尿でわかる!マイコトキシン検査はじめました
尿中カビ毒検査とは(チラシ) / ご依頼の手順など
***********************************************************

診療をしている中で、非常に難しい症例のひとつに「平熱で下痢もしていないにも関わらずエサをほとんど(もしくはまったく)食べない」というケースがあります。

肝臓や腎臓といった臓器に問題があったりするケースがあれば、牧場の水が出ていない、牧場のウォーターカップの使い方が分からない、といった「水が飲めない」ためにエサも食べなかったという事例もあります。特に水に関しては、「出てる」と畜主が思い込んでいることがあったり、水はあるけどありえないぐらい水質が悪いことがあったりするため、熱や下痢といった分かりやすい異常がない場合は水や水槽の状態を調べることが非常に重要です。


汚れた水槽


水が出ていなかったためにエサを食べなかったケース

もし、食べない原因が水ではなく、慢性肺炎や第一胃炎・第四胃炎などのような消化管疾患であった場合は少しやっかいです。治療によって臨床症状が改善した(肺炎であれば「熱発しない・呼吸が落ち着いている」など)にも関わらず、食欲が戻ってこないケースが少なくないためです。こうなると、治療よりも「食べる物探し」に注力する必要が出てきます。もちろん、他の牛に影響が出ないよう隔離できることが条件になりますが、牧場にあるいろいろなエサを与えてみて、食べるもの、食いつきが少しでもよいものがないかを調べてみるのです。

たとえば、「育成子牛が育成飼料を食べないのであれば、スターターや母牛のエサを与えてみる」、あるいは「肥育牛が前期飼料を食べないのであれば、後期飼料を与えてみる」といったような方法です。日ごろ与えていないものを与えてみると、興味を示すことがあるのです。このほかにも、日ごろ混ぜている添加剤を中止してみるという方法を取ることもあります。つまり、味変やエサ変をやってみるのです。変えたところで食べる量に変化がないこともありますが、意外とエサの種類を変えると飼槽に寄ってきてくれたり、ある程度の量を食べるようになったりすることは少なくありません。どんなに栄養価の高いエサであっても、食べてもらえなければ意味がありません。逆に、栄養価が多少劣っているとしても、食べてくれれば日々を生きるためのエネルギーをそこから得ることができるのです。

もし、肺炎などの消耗性疾患によって落ちた食欲がなかなか戻ってこないときは、牧場で使用している他の種類のエサを試してみてはいかがでしょうか。

***********************************************************
今週の動画
OPUルームツアー【小池牧場さん】

|