2026年9月17日 *********************************************************** 毛ぞりは必要なく、アルコールで表面をしっかりと濡らしてあげれば肺のエコー画像を得ることができます。実際のやり方や見え方については、シェパードでも動画で紹介しています。 この他にも、You Tubeなどで牛の肺エコーについてはさまざまな方が詳しく紹介されていますので、機会がありましたらぜひご覧ください。 これまでは「聴診」という聴覚を頼るしかなかった肺炎の評価方法に、エコーという視覚的要素が加わったことで、肺炎病態評価の精度や客観性は非常に高まったといえます。ただ、肺炎の超音波検査法を紹介する論文や講演会でよく見聞きする「とある文言」がいつも気にかかるのです。それは、「聴診で異常音が確認されなかった症例でもエコー画像上では肺に炎症病変が確認された」、あるいは「肺音や食欲が改善したケースでも肺炎像に変化がないケースがある」というような情報です。 聴診が基本となる診療の場合、熱があっても呼吸に伴う異常音がなければ「肺炎ではなさそう」と判断されるケースがほとんどです。そうした場合、治療によって翌日の食欲や活力が改善していれば、何の心配もなく同じ抗生剤を投与し続けるでしょう。しかし、そうした場合でもエコー上の病変が改善していかなければ、再発をくり返し、慢性肺炎になる可能性があるのです。 こうなると、聴診しても意味ないの????と焦ってしまいます。 もちろん、超音波検査によって肺における病変を正確に把握し、治療後の変化まで確認することができるというのは大きなメリットです。ただ、聴診という昔からの診療法自体も否定する必要はまったくないと思います。聴診は簡単ですぐに行える検査法ですし、聴診器以外に道具は不要、どのステージでも行える(肥育牛や母牛など大きな個体では肺の描写が困難なため、肺の超音波検査は基本的に子牛が対象です)、心音や腹部臓器など肺以外の聴診まで同時に行える、という利点があります。まだまだ、超音波検査をすべきタイミングを試行錯誤中ですが、現時点では基本は聴診で診察を行い、呼吸の様子がおかしい、治りが悪い(抗生剤が効いているか自信がもてない)、再発してしまった、というケースにおいては積極的に超音波検査を行うようにしています。
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