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橋本匠護のコラム
生まれた時につながっている臍帯、どうしますか?

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2026年6月12日

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牛の分娩介助には様々な方法があります。その中でも意外と人によって対応が異なるのが、分娩後の「臍帯(へその緒)」の扱いです。子牛が生まれたあと、まだ母牛と子牛が臍帯でつながっていることは珍しくありません。このとき、すぐに切る方もいれば、そのまま様子を見る方もいると思います。

私は特別な理由がない限り、臍帯はすぐには切らないようにしています。

理由の一つは、できるだけ自然分娩に近い形で介助したいと考えているからです。自然分娩では、母牛が横になった状態で分娩することが多く、子牛が動いたり母牛が立ち上がったりしたタイミングで自然に断裂することがほとんどです。そのため私も、母牛と子牛の状態に問題がなければ自然に切れるのを待つことがあります。

また、生まれた後もしばらくは臍帯を介した循環が続いている可能性があり、慌てて切る必要はないとも考えています。

実際に、臍帯をどのタイミングで切るかによって、子牛の状態に影響する可能性を示した報告もあります。この報告では、自然に臍帯が断裂した子牛と比較して、人為的に早期切断した子牛では、その後の肺のガス交換能力(肺の働き)が長期的に低下したことが示されています。

ちなみに人の医療分野でも「臍帯結紮遅延(Delayed Umbilical Cord Clamping)」という考え方があります。赤ちゃんは生まれた後もしばらくの間、臍帯を通じて胎盤とつながっています。そのため臍帯の切断を遅らせることで、胎盤から血液を赤ちゃんに送り生後の鉄欠乏リスクを低下させるなどのメリットがあることが知られています。

牛で同じことが起きているかは明らかではありません。しかし、「生まれた直後も臍帯には役割が残っている可能性がある」という考え方は参考になるかもしれません。

母牛と子牛の状態に問題がなければ、自然に断裂するのを待つ。自然に断裂しない場合でも、少なくとも臍帯の拍動が止まってから切断する。それが現時点での私の考え方です。

ただし、難産や子牛の状態が悪い場合などは迅速な処置を優先するべき場面もあります。その点にはご注意ください。

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