(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第870話:4月を前にふと思ったこと

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2026年3月31日

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3月もついに終わります。はやいものです。まだ朝晩は少し冷えますが、桜はかなり咲いてきました。この季節になると、1年は早いなあと思うと同時に「ああ、また新しい1年が始まるな」と感じます。

これから、各地の診療所や牧場には、新人の獣医さんが入ってきます。小生も昔は新人でした。今から思い返すと、それはもう見事なまでに“頼りない獣医さん”でした。牛さんの状態が悪いと顔にすぐ出る。処置をすれば手元がおぼつかない。農家さんに質問されると、「えーっと」と視線が泳ぐ。

今考えると、「この先生、大丈夫か?」と思われて当然だったと思います。新人のうちは、できないことの方が圧倒的に多いです。知識も経験も足りません。これはどうしようもない現実です。ただここで無理に“できるふり”をしてしまうと、かえって信頼を失います。むしろ大事なのは、わからないことは素直に認める。その場でしっかり考える。わからなければ調べる、聞く。そして必ず次につなげる。この繰り返しです。

そしてもう一つ、大切なことがあります。それは「態度」です。新人のうちは技術や知識では勝てません。しかし、元気な挨拶、しっかりとした返事、真剣に話を聞く姿勢。これだけで印象は大きく変わります。農家さんは意外とよく見ています。「この子は一生懸命やっているな」と感じてもらえるだけで、信頼のスタートラインに立てます。

さて、ここからは少し小生らしい話をさせてください。実は新人のうちから、ぜひ意識してほしいことがあります。それが、「ちょっとだけ自分に酔うこと」です。これは以前のコラムでも書きましたが、やはり大事です。

例えば、注射がうまくいったとき。「お、今のいいね」「さすが俺、うまくなってきてるな」。こうやって心の中で思ってみてください。たったそれだけですが、不思議と姿勢が変わります。動きに迷いがなくなり、表情にも余裕が出てきます。そしてその“余裕”が、農家さんには「安心感」として伝わります。逆に「自分はまだまだだ」「失敗したらどうしよう」とばかり考えていると、それはそのまま雰囲気に出ます。そして周りの人が不安になります。もちろん、過信は禁物です。ですが、「努力している自分」を少しだけ肯定してあげることは、決して悪いことではありません。できない事よりも、過去の自分と比べて成長している点をしっかりと見つめてください。他の人と比較する必要は一切ありません。

もう一つだけ、最後にお伝えします。
「牛さんをよく見ること」
これに尽きます。

データも大事、検査も大事、理論も大事です。しかし現場では、最終的に頼りになるのは“自分の目”です。表情、立ち方、呼吸、便の状態、動き。これらを毎日見ていると、少しずつ「違和感」に気づけるようになります。この“違和感”に気づけるようになったとき、初めて一人前への道が見えてきます。最初からうまくいく必要はありません。むしろ失敗しながらでいいと思います。ただし、その一つ一つを確実に自分の力に変えていってください。
そして、たまにはこうつぶやいてみてください。

「さすが俺、今日もちょっと成長したな」

偉そうなことを書いていますが、小生もまだまだ修行の身でございます。若いスタッフや周りの方々に多くの気付きを与えていただいたり、教えていただいたりすることが本当に多いです。

ありがたや、ありがたや。とにかく一生勉強ですね!

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