(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
加地永理奈のコラム
下痢の混合感染も悪ではない?

コラム一覧に戻る

2026年3月4日

***********************************************************
シェパードイチオシ情報
■ 尿でわかる!マイコトキシン検査はじめました
尿中カビ毒検査とは(チラシ) / ご依頼の手順など

■ 松本大策の新刊「牛の治療マニュアル(QRで徹底解説!見てよく解る!)」好評発売中!お求めは日本畜産振興会(03-3379-3741)もしくはシェパードまでお問い合わせください。
***********************************************************
 
子牛の下痢の原因には、ウイルスや細菌、寄生虫などの様々な病原体があります。
そして一般的に、2種類以上が同時に感染する「混合感染」になると、症状が重篤化して死亡率も上がると言われています。

しかし最近、「感染する順序や病原体同士の相互作用によって、逆に症状が軽減する場合がある」という驚きの研究結果が発表されました。

論文タイトル
Influence of Cryptosporidium and Rotavirus Co-infection on Infectivity in Calves

この論文では、ロタウイルスに先に感染していたけれど症状が出ていなかった子牛は、その後クリプトスポリジウムに感染しても、下痢の期間が大幅に短縮されることが明らかになりました。

具体的には、クリプトスポリジウムの単独感染だと4~5日続いた下痢が、ロタウイルスとの混合感染の場合では1~2日に短縮されたそうです。

しかもこれは、最初の感染によって免疫反応が活性化したからではなく、ロタウイルスが作るタンパク質「NSP4」というものが、子牛の腸粘膜細胞にくっついてクリプトスポリジウムの感染を防ぐという仕組みで起こるとのこと。

現在、クリプトスポリジウムに対して有効なワクチンや治療薬はなく、消毒を徹底して免疫の強い子牛を育てていく他ありません。

しかし今回の論文をヒントにすると、ロタウイルスに対する抗体を子牛にしっかりと付けさせさえすれば、その子牛はロタウイルスに感染しても症状が出ず、そこからクリプトスポリジウムに感染しても体力を消耗することなく乗り越えられるということになります。

この研究が現場で検証され、子牛の下痢対策がアップデートされることを楽しみにしています。
 
***********************************************************
今週の動画
[ルーメンファイブの中身]

|