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子牛の銅中毒

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2026年2月15日

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 以前(ずっと前ですが)、繁殖母牛の銅欠乏症についてお話したことがあります。最近加地先生のコラムにも、銅欠乏の症例が紹介されていましたね。
 この原因は、サイレージの二次発酵によって、粗飼料に含まれる銅の量は変わらないのに、その銅が牛さんに吸収されない形に変化してしまうというケースが多いのですが、比較的牛さんの吸収力を反映しやすい、1規定塩酸抽出法という、牛さんの胃袋で同を抽出吸収するプロセスを再現した測定方法もあるのですが、その結果を見てもなかなか牛さんの血中濃度と創刊しないこともあるので注意が必要です。実際はやはり、牛さんの血清銅を測って銅の添加をするべきです。

 ところで、今日のお題は「子牛の銅中毒」です。こちらの原因は、母牛や乳牛に与えている「銅の添加剤」を子牛に与えているケースが最も多いです。子牛でも銅欠乏は起こります(写真1)。母牛で銅欠乏が多発している農場では、やはり子牛の銅欠乏も検査しておくべきです。しかしながら、子牛への添加剤給与は注意が必要です。というのも、子牛と成牛では、銅中毒に陥る急性毒性(LD50というう指標で表します) が、成牛:200-800 mg/kgなのに対して子牛では:40-100 mg/kgというとても少ない量なのです。


写真1 子牛の銅欠乏

 ですから、母牛に与える分量を体重割で子牛に与えていると、40日程度で銅中毒が発症します。僕の経験では、発症に気が付きにくいのか、前日まで元気にミルクを飲んでいた子牛が急にミルクを飲まず死亡してしまう、というものでした。しかも、添加剤の給与が原因なので、たくさんの子牛で続発してしまうのです。
 死亡した子牛の眼を見ると、明らかな黄疸で(写真2)、死後解剖では肝臓に銅の沈着(ロダニン染色という方法で調べます)が見つかります(写真3)。


写真2 黄疸の眼


写真3 ロダニン染色肝臓

 銅欠乏に注意するとともに、良かれと思った添加剤で銅中毒を起こさないように注意も必要です。農場によっては、薬屋さんに勧められるままに何種類かの添加剤を与えていて、それぞれの添加剤は良いものなのですが、含まれる銅が重複投与となり、銅中毒を起こすケースもありますから、信頼できる獣医さんに添加剤をみていただくとよいと思います。
 
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