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戸田克樹のコラム
第534話「病気を減らすためにできること⑱」

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2026年2月5日

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 哺乳期の粗飼料給与がもつ効果として「アシドーシス予防」について今回は考えてみましょう。ルーメン内のアシドーシスといわれると、肥育牛を思い浮かべる方がほとんどだと思います。しかし、驚くべきことに、哺乳期子牛でもアシドーシスは発生しているのです。

 スターターは子牛用の濃厚飼料です。栄養分となる揮発性脂肪酸が発生しやすいのはもちろんですが、発酵により生じる酸の中には乳酸も含まれるため、ルーメン内のpHは採食後にしっかりと下がっていきます。濃厚飼料はデンプンが主体のため、菌による発酵分解が粗飼料よりも速く行われます。逆に、粗飼料はほとんどが繊維質のため、分解速度は非常に遅くなります。ホルスタイン種におけるデータですが、粗飼料を与えていた群では飼料給与のタイミングでpHが下がりその後徐々に戻っていく、という推移に対し、粗飼料がない群ではずっとpHが低いままで1日が終わっているという報告が挙げられています。

上がり下がりがない分良いのでは?と思われるかもしれませんが、粗飼料がない群では「ずっと酸性度が高い」状態が続いているため、慢性的にアシドーシスになってしまっているのです。逆に、粗飼料が給与されていると「pHが高い時間帯がある=ルーメン内の酸性度が低い環境が一定時間提供される」ことになります。この間に、一旦は低pH環境下で数を減らした有益なバクテリアや原虫がその数をもとに戻したり、ダメージを受けた胃粘膜を回復させたりすることができます。哺乳期にはあまり意識することがないかもしれませんが、子牛のアシドーシスも粗飼料の給与でその影響を小さくすることができるようです。
 
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