2025年11月18日 *********************************************************** 生体情報としての“におい”は極めて重要です。小生も診療の際には、牧場内の臭気や牛さんの体臭を診察の指標として重視しています。しかし今回扱うのは診療ではなく、牛肉における香気成分──すなわち「におい」についてのお話になります。 和牛肉には「和牛香(わぎゅうこう)」と呼ばれる特徴的な甘い香りが存在するとされ、その主要因として知られているのがγ-デカラクトン(ガンマ・デカラクトン)になります。この化合物はピーチ様のフルーティーな甘い香りを呈し、和牛特有の芳香を形成する重要な香気成分と考えられています。 ここで、非常に興味深い関連研究があります。ロート製薬が実施した、「若年女性に特有な体臭成分の解析」です。同社は、若い女性の体臭に含まれる甘い香りの原因として、同じくラクトン類(特にγ-ラクトン、γ-ウンデカラクトン)が大きく寄与していることを明らかにしました。これらの成分は10代後半をピークに加齢とともに減少し、体臭の質的変化に深く関与していることが分かっています。 1.若年女性に特有の甘い香りはラクトン類が主要因であり、加齢に伴い濃度が低下する。 このように、ラクトンはヒトの魅力度と密接に関わる化合物であり、牛肉の香り研究にも応用可能性があるという点が非常に興味深いところです。 すなわち・・・ この組み合わせは、牛肉の嗜好性、特に「甘い香り」と「軽やかな脂質感」を両立させる可能性を秘めており、牛肉の官能評価体系に新たな視点をもたらす方向性といえます。 個人的な願望を言えば、多くの女性にラクトンが豊富な牛肉を召し上がっていただき、その結果として女性らしさ・若々しさ・魅力度がさらに高くなってくれたらいいなあ~。 小生自身も牛肉を食べて甘い香りを発してみたいところですが、実際にはニンニクと焼肉の香ばしい「臭い」をまとった、ただの小汚いオッサンが完成するだけかもしれません。間違いなく小生は「匂い」ではなく「臭い」を放ちそうなので、十分注意したいと思います。ちなみに診療車の中も相変わらず強烈で、どこかに腐ったミカンやおにぎりが潜んでいるのは間違いないのですが、いまだ発見できておりません。 牛肉の「甘い香り」研究は、今後ますます注目される分野です。 |
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