2025年10月28日 *********************************************************** マイコトキシンとは、カビが自分の生存を守るために作り出す“化学兵器”のようなものです。カビ自身にとっては防御物質、しかし哺乳類にとっては毒。ゼアラレノン(ZEN)はエストロゲン様の構造をもち、ホルモンバランスを狂わせます。デオキシニバレノール(DON)は蛋白合成を阻害し、採食低下と免疫抑制を引き起こします。嘔吐の原因にもなります。まるで、ホルモン、代謝、臓器――それぞれの“急所”を狙うスナイパーのようです。カビはただ生きようとしているだけなのに、その結果がヒト様や家畜の健康を蝕む。 しかも、現実の現場では、ひとつのカビ毒が単独で存在していることは稀。ZEN+DON、DON+フモニシン、ZEN+アフラトキシンなどなど、カビ毒たちはなぜか“仲良し”。複数のカビ毒が同時に作用することで、毒性は何倍にも強まります。この“共犯関係”、意外と見落としがちです。「飼料中の数値は基準値以下だったのに、牛が調子を崩す」――そんな時は、静かに微笑む“共犯者”が潜んでいるのです。 カビ毒の怖さは、「目に見えない」という点にあります。牛さんは喋れません。「ちょっと体が重い」「食欲が出ない」とも言えません。もちろん、「カビの生えたエサはイヤです~」なんて言ってくれたら助かりますが、そうはいきません。血液検査や体重の増減だけでは原因を特定するのが難しい。だからこそ、“見えないストレス”を定量化する技術――それが「尿中マイコトキシン検査」の最大の意義なんです。尿中のZENやDONを測ることで、「体が実際に受けているダメージ」を可視化できます。犯人はいつも、しっかりと尿の中に証拠を残しているんですよね。 これまでの畜産現場では、カビ毒をなにか特別なイベントとして起こる「事故」や「汚染」として扱うことが多かったと思います。しかし、気候変動や流通の多様化によって、カビ毒は“常在リスク”となりつつあります。つまり、「カビ毒は普通にあるもの」「それをどう管理していくかが問われる時代」に変わってきているのです。 カビ毒管理は、“ゼロにする”発想ではなく、“コントロールする”発想が必要です。完全排除を目指すより、現場でリアルに対応していく。季節・飼料ロット・給与形態・牛のステージによって動的に変化します。これを見える化し、科学的に把握することが、今後の家畜衛生のカギになると思っています。 皮下注射や静脈注射、気管内注射などの仕方も解説しています。わかりやすいようにQRコードを付けてあるので、スマホをかざせば動画も見られますよ。 10月末発売。 |
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